この街に住む者なら誰も近づかない学校がある。
近づくとしたらよっぽどのバカか……よっぽどのバカだ。
その学校の名は……鈴蘭男子高校。別名「カラスの学校」と呼ばれている。ヤクザでも、半端者は近づきゃしない。腹をくくった奴にしか、この門はくぐれない。
群雄割拠の悪ガキ甲子園。腕に覚えのある猛者が集い、日々その覇権を激しく争っている。しかし、いまだかつて番長として全校をまとめあげた者は存在しない。
自分を怪物と信じていた者も、更なる怪物に敗れ下につく。知略ある者は数を求めて群れをなす。
虎視眈々と情勢を注視する者もいる……そうこうしているうちに派閥や一匹狼が出来上がり、互いに牽制していく中で勢力が均衡していくのだ。
そんな風にして繰り返されてきた長い歴史の中で、いつしか街の不良達もこう噂するようになった。
「鈴蘭を統一するのは……絶対に不可能だ」
しかし、不可能と言われている鈴蘭制覇を本気で目指す男が1人……門を叩いた。
舞い降りたはぐれ鴉……その男の名は、滝谷源治。
滝谷の登場により、鈴蘭はかつてない速さで動いていく。
最凶の不良たちの最高の物語が、生の迫力を伴って舞台上で躍動する。